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トリオはなぜパルスカウント検波を止めてしまったのか?
Why TRIO / KENWOOD abandon pulse count detector?
このホームページのコンテンツであるトリオ・ケンウッドの FM/AM チューナー 一覧を作成していて思い出したのです・・・
トリオがKT-9700以来採用していたパルスカウント検波をデジタルシンセサイザー化と同時にキッパリ止めてしまったことを。
「理想の検波回路方式」と称して KT-1100 に至るまで採用してきたパルスカウント検波をキッパリ止めてしまったことを。
L-03T や KT-1100 の後継機である KT-3030 および KT-2020 で採用された DLLD はよいものでしょう。(私も KT-2020 買いました)
ところが改めて KT-1010F, KT-2020, KT-3030 のカタログを見てもパルスカウントから変更した理由がありません。
チューナーの主要機構である検波器の激変です。
通常なら当社比較を数値やグラフや測定器の写真などで説明してもいいはずです。
ところが、パルスカウントのというものは存在しなかったような扱いです。
その後のケンウッドからはパルスカウントの「パ」の字も出てきません。
ケンウッドの黒歴史みたいな扱いじゃあーりませんか。
当時のオーディオ雑誌でも取り上げられなかったと思いますが、全く取り上げられないことにも違和感がありました。
トリオチューナーユーザーとしては、まるで大家さんに夜逃げされたアパートの住人みたいな状態です。(KT-2020 購入前は KT-1000 ユーザーでした)
ネットで探してもそのことに触れた情報はありませんでした。
そこで、今ごろですがパルスカウントを廃止した理由を考察してみました。
以下はパルスカウント放棄の理由を思いつくままに書いたものです。
性能や音質の向上以外の理由も考えつくのは当然の結末でした。
- デジタルシンセサイザー化との相性
性能面で相性が悪く不利だった。
コスト面で相性が悪く不利だった。
- 性能向上に行き詰まった
研究中に致命的でカバーできない欠点を発見してしまった。
他社が新規技術を繰り出す恐れがあるのに大幅な性能向上が見込めないでは済まなかった。
逆に、当時の最新の技術で構造簡単なレシオ検波器とかを作ってみたらパルスカウントと大差なかったので止めた。
- ヤマハ
ヤマハのカタログにパルスカウントとは10倍も性能が違うとか書かれた。
これが意外と営業面で効いたため営業から突き上げられた。
それが本当のことだった。
実際は数倍くらいだけどやっぱり性能面で劣っていた。
- パイオニア
DDDで見るようにパルスカウントの最終形はフルデジタル化であるが、当時の技術では技術的、価格的に実用化する目途がたたなかった。
- カスタムチップ
カスタムチップを作れなくなった
引き受けてくれるメーカーが無くなった。
価格の大幅引き上げを要求された。
これ以上高度化していくカスタムチップを設計する能力がなかった。
チューナーの売上台数低下が予想される中で最低ロット数のカスタムチップを発注できなかった。
- FM文字多重放送
見えるラジオ開始が濃厚となったがパルスカウントでは対応不可能もしくは不利と予想した。
- コストダウン
パルスカウントでは要求されたコスト削減ができないため放棄した。
- 技術者
技術者が退社し技術力の低下により新規の開発や改良が不能となった。
技術者が当時花形のCDプレーヤー開発に回されて技術力が低下し新規の開発や改良が不能となった。
技術者もしくはチーフが異動で入れ替わり、新規担当者がパルスカウントに技術的に懐疑的であったため方針を変えた。
技術者もしくはチーフが異動で入れ替わり、新規担当者がパルスカウント開発者と犬猿の仲であったため方針を変えた。
- 技術の進展
技術の進展によりパルスカウントでなくても簡単で性能のよい検波器が作れるようになった。
- 技術の購入
高性能で安価な検波器要りませんか?と売り込みがあり意外とよかったので買った。
- 営業政策
いくら優秀でも10年間パルスカウントを続ければ飽きられる。
そこで営業畑出身の重役から「シンセ化することだし、ここらで目先を変えてくれたまえ」などと要求された。
- 会計・原価計算
10年間過ぎて開発費も設備費も償却してしまった。
そこで経理畑出身の重役から新規技術への遷移を勧告された。
- 経営戦略
社名変更を世間に強く印象付け旧来のイメージの一新する必要があった。
そこでトリオの象徴であるパルスカウントを廃止させた。
- パソコンの普及
強力なノイズを出すパソコンが急速に家庭に普及する状態となった。
パルスカウントはデジタルノイズに対する耐性が弱いため廃止した。
- バブル
当時の日本はバブル崩壊に向って好景気が続き、トリオでも開発資金を潤沢に使えた。
調子に乗って開発費を使いすぎてしまい何か製品化しないことには済まない状態になった。
そこで DLLDを製品化した。
- 輸出規制
高性能化したパルスカウントチップを開発したが、高性能化ゆえに輸出規制に引っ掛かった。
チューナーを輸出できないでは会社の経営に影響するので泣く泣く諦めた。
みなさんは何とも思いませんでしたか?
トリオがパルスカウントを発表した30年前にはトリオが単体チューナーから全面撤退するなど考えられなかったでしょう。
パルスカウントを廃止する理由が何であっても不思議ではないのかもしれませんネ。
と、思い浮かぶことを書いてきましたが、ある方によると「パルスカウントから DLLD に変更した理由は技術的な改善だけ」らしいです。
この内幕については、どこかのホームページで公開されるかもしれません。
と書いてこのページを更新しようとしたら本日付けで技術的な面からの解説がされていました。
Atelier AUDILLUSION さんのパルスカウント検波からDLLDをお読みください。
パルスカウント検波の商品寿命は10年でしたが携帯電話のモデルチェンジを見慣れていると長いなあと思います。
それに 30年前の KT-9700 でも十分よい音質ではないでしょうか。(聞いたこと無いので想像ですが)
理想の検波器を越える検波器が開発された時期に FM放送の質が悪化したのは残念ですね。
07.09.30
ラジオ技術1982年1月号 黒川晃氏 (懐かしいお名前ですね) の記事によるとトリオで最初に PLL検波を採用したのは L-02T だそうです。同号にはトリオの技術者による L-02T の技術解説記事もありますが検波器については何も触れられていませんでした。
07.11.17
トリオはパルスカウント方式を止めて PLL 検波方式に移行したのですが、パルスカウント方式はアキュフェーズのチューナーで採用されて DGL 方式として現行機種の T-1000 に至るまで残っています。
アキュフェーズで最初に採用されたのは 1984年1月発売の T-106 ですが、トリオがパルスカウント方式を止めるのと入れ替わりに採用したのは皮肉なものです。
21世紀に入ってテクニクスの ST-G900 やパイオニアの F-777 が廃番となり、高級チューナーで生き残ったのは
08.06.08
CoolTune FM/AM TUNER 実験室 http://cooltune.digi2.jp/
2007.09.23 start
小さい追加修正は随時行っております